各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 立憲民主党
- 視察先
- 岡山県 笠岡市
- 視察案件
- 「認知症施策」について
- 実施日
- 令和7年7月9日
- 参加者氏名
- 大里 昇
視察結果概要
(1)視察先の概要
笠岡市は岡山県の南西部にある市です。1952年に市制施行されました。旧備中国ですが、歴史的に備後国とのつながりが深く、文化的には備後地方とされることが多いです。面積は136.07㎢、総人口は42,016人(推計人口)です。西は広島県福山市と隣接しています。気候的にも温暖で雨が少なく、地形的には平野が少ないため、水と土地を求める歴史があります。土地については干拓や埋め立てを行うことでまかない、特に平成2年3月には広大な笠岡湾干拓地が完成し、大規模機械化農業の基盤として期待されています。
水については大きな川がないため、夏には慢性的な水不足になるなど、先人たちは大変苦労してきました。しかし、笠岡湾干拓事業に伴い、倉敷市を流れる高染川から導水管を引き、水道水を全世帯に給水できるようになりました。
観光面では、風光明媚な笠岡諸島を有し、夏には海水浴客で賑わっています。また、世界で唯一のカブトガニ博物館では、カブトガニに関する展示はもちろん、その研究も行われています。
(2)視察内容
認知症施策の具体的な内容は、一般的に早期発見、早期診断、早期対応を目的とした医療・介護・福祉の連携強化、相談窓口の整備、認知症予防(生活習慣病予防や社会参加の促進など)、そして正しい知識の普及啓発などが行われています。
笠岡市の認知症施策としては、地域住民向けの「認知症ひとり歩きSOSネットワーク」があり、認知症への理解促進と普及啓発を目的とした講座や模擬体験会を実施しています。この取り組みは笠岡市地域包括支援センターが主体となり、市内の各地区公民館等で一般市民を対象に開催されています。
認知症に関する相談窓口については各地域包括支援センターが担当しており、岡山県ホームページにも詳細が掲載されています。認知症の早期発見や地域連携に関しては、岡山市のホームページなどでも取り組みが紹介されています。
笠岡市では、「認知症を共に支える大作戦」を3つのステップに分けて進めています。
ステップ1:気づくこと
「MCI(軽度認知障害)」とは、記憶力の低下は見られるものの、日常生活に支障がない状態を指します。適切な予防を行うことで、1年で約16〜41%の人が健康な状態に戻ることがわかっています。自分の状態を確認しましょう。
ステップ2:オレンジサポーター養成講座の受講生募集。
ステップ3:寄り添う
高齢者や認知症の人にも寄り添う社会にしましょう。高齢者に配慮した優しい取り組みを行っている「認知症の人にもやさしいお店」を市が認定します。以上は笠岡市ホームページ内の目次です。
笠岡市においても、「認知症に関する理解促進」「予防の推進」「医療ケア・介護サービス・介護者への支援」「認知症バリアフリー・社会参加の促進」「研究開発・産業促進・国際展開」を柱とする「認知症施策推進大綱」に基づいた施策を目指しています。
(3)視察から得られた考察
笠岡市においても認知症施策を推進する意義は、ひとつには令和6年1月に施行された認知症基本法が掲げる「共生」の理念を具現化し、認知症を単なる医療の問題から社会全体で支える課題へと転換することにあります。ふたつには、2040年には高齢者の約3.3人に1人が認知症またはその予備軍である軽度認知障害になると推計されており、超高齢社会に備え強靭で包摂的な地域コミュニティーを構築することにあると思います。
認知症施策の現状を客観的データに基づき分析し、直面する課題を明確化したうえで具体的な政策提言を行っていくべきと考えます。

視察の様子