各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 日本維新の会
- 視察先
- 岡山県 笠岡市
- 視察案件
- 「認知症施策」について
- 実施日
- 令和7年7月9日
- 参加者氏名
- 平沢 一博
視察結果概要
(1)視察先の概要
笠岡市は、岡山県の南西部に位置し、西は広島県福山市と接しています。温暖で雨が少なく、平野が少ないため「水と土地を求めて」の歴史でした。土地については干拓や埋め立てによって確保し、水についても倉敷市を流れる高梁川からの導水が実現し、今日では島しょ部を含む市内全域への水道水が供給されています。
瀬戸内海国立公園の一角をなす笠間諸島を有し、長きにわたり日本の建築文化を支えてきた、笠岡諸島を含む瀬戸内備讃諸島の花崗岩と石切技術などの文化・伝統について「知っている⁉悠久の時が流れる石の島」が日本遺産に登録されました。その他、「カブトガニ繁殖地」が天然記念物として指定されております。
人口/4万3,644人(令和7年4月1日現在)
面積/136.074㎢
(2)視察内容
笠岡市では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、「地域包括支援センター」が中心となって介護、福祉、健康、医療などの分野を総合的にカバーし、もの忘れや認知症への相談、介護予防についての助言などのほか、出前講座やセミナーも開催しています。また、認知症初期集中支援チームを配置し、早期診断・早期対応を支援する認知症初期集中支援推進事業が平成29年10月から実施されています。
市内の店舗(主に食料品店など)を対象に、認知症の高齢者が安心して買い物できる環境づくりを進める「認知症の人にもやさしいお店・事業所」として認定する制度があり、令和5年9月にまず7店舗が認定され、今後も拡大が予定されております。
そして、認知症サポーターからさらにステップアップした「オレンジサポーター」を養成しており、この講座を修了すると、声かけや見守り、必要な関係機関との連携など、認知症の方やその家族が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支援できる応援者として活動でき、修了後には顔写真付きの登録証が交付されるとのことです。
笠岡市の認知症施策については、行政だけに頼らず、地域全体で認知症への理解と支援体制を築こうとしている姿勢や、単に、制度の導入だけでなく、「地域に根づかせる仕組み」作りに対する考え方を学んでまいりました。
(3)視察から得られた考察
笠岡市の認知症施策については、グループホーム、NPO活動、オレンジサポーターと、多層的な支援構造があり、行政だけに頼らず、地域全体で認知症への理解と支援体制を築こうとしている姿勢がよく伝わってきました。又、認知症の方の日常生活を支える視点が強いと感じます。 「やさしいお店」の認定制度や生活支援(食事、緊急通報装置など)は、認知症の方が地域で安心して暮らすことを意識して設計されています。
そして、初期段階での介入・予防がしっかりしており、認知症初期集中支援事業や出前講座は、発症前や早期対応を重視しており、非常に先進的だと感じました。
本市においても、是非、笠岡市のモデルを参考にしつつ、春日部市の地域性や都市規模に合った施策を提案したいと思います。例えば、@「認知症やさしいお店」認定制度を導入(買い物中の困りごとを地域全体で支える文化づくり)し、地元スーパー、ドラッグストア、銀行などで認知症の理解研修を行い、「やさしいお店」として認定し、店舗入口にステッカーを掲示し、地域の安心感を醸成していくこと、A 独居高齢者や認知症高齢者の安全・栄養・孤立防止を見据えた高齢者の生活支援と安否確認の拡充を実施し、配食サービスに安否確認の機能をセット(安否確認は本市でも実施済)にして、もう一歩進んだ認知症施策の実現に向けて動いていきたいと思います。
最後にやはり重要なのは、行政だけでなく、地域とつながる設計がポイントとなり、初期から末期まで、当事者から支援者までを一貫した支援作りが重要だと感じました。そしてただ単に、制度の導入だけでなく、「地域に根づかせる仕組み」が重要だと再認識しました。

視察の様子