各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 日本維新の会
- 視察先
- 広島県 尾道市
- 視察案件
- 「地域共生・重層的支援の取組」について
- 実施日
- 令和7年7月8日
- 参加者氏名
- 平沢 一博
視察結果概要
(1)視察先の概要
自然の良港を持つ尾道市は、瀬戸内のほぼ中央、広島県の東南部に位置し平安時代から対明貿易船や北前船、内海航行船の寄港地として、中世・近世を通じて繁栄をとげました。海を望む階段や坂道、路地越しに見える尾道水道、点在する寺院など、歴史を凝縮した景観に魅かれ、志賀直哉、林芙美子、小林和作をはじめ、多くの文人墨客が足跡を刻み、また近年では数々の映像作品の舞台となり映画のまちとしても有名です。
歴史と文化に溢れる島々を結び、全長約70kmの海の道をサイクリングで満喫できるしまなみ海道をはじめとする新たな魅力と歴史・伝統に育まれた資源を活かし、他にはない魅力的な価値を持つまちづくりを推進しています。瀬戸内のほぼ中央に位置し、山陽自動車道、瀬戸内しまなみ海道に加え、中国やまなみ街道(中国横断自動車道尾道松江線)により、広域拠点としての機能は高まり、まさに「瀬戸内の十字路」としての発展が大いに期待される都市です。
人口/12万5,340人(令和7年6月30日現在)
面積/284.89㎢
(2)視察内容
地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、市町村において属性を問わない1.相談支援、2.参加支援、3.地域づくりに向けた支援を一体的に実施する「重層的支援体制整備事業」(市町村の任意事業)が、社会福祉法の改正により令和3年4月に施行され、尾道市では、令和3年度から「重層的支援体制整備事業への移行準備事業」に、令和6年度から「重層的支援体制整備事業」に取り組んでおり、地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制を構築するために包括的相談支援、多機関協働、アウトリーチなどを通じた継続的支援など、地域の実情や特色等を活かした伴走支援の取り組みが開始されています。
近年、認知症や精神保健のことにかかわる相談や、「8050問題」「ひきこもり」「ヤングケアラー」「ダブルケア」など、複雑複合化した課題を抱える方の相談も多くなっており、分野を超えた支援者のネットワークである「おのまる会議(旧名称:地域共生包括化推進会議)」の「個別ケース会議」を必要に応じて開催、いろいろな支援機関が寄って役割分担を行い、チームで「つながる」「よりそう」支援(重層的支援体制)を行っており、その仕組み作りや部署をまたいでの協力・連携体制等について学んでまいりました。
(3)視察から得られた考察
複合多問題の課題を抱えた世帯の相談の多くは、経済的困窮課題を抱えている傾向にあること、相談者が地域との繋がりが乏しく社会的孤立のケースが多いこと、相談先が明確になっていない課題や多分野にまたがる課題について、専門協議が必要であることなど、改めて確認させていただきました。
本市においても、先ずは尾道市が行っている福祉まるごと相談会・研修交流会(他分野の参加者がごちゃ混ぜのグループ構成で、テーマを決めず、発表もせず、机を使わない、雑談のための座談会)を実施し地域住民と支援機関や行政、多分野支援者同士が顔が見える関係の構築をしていく必要性を強く感じました。
本市においても、当然のことながら認知症や精神保健のことにかかわる相談や、「8050問題」「ひきこもり」「ヤングケアラー」など、複雑複合化した課題を抱える市民の方が大勢おります。しかし現状、行政側の部署間の壁により十分にサポートできていない部分もかなりあるのではないかと思います。本市でも早急に、トップダウンや国からの交付金目当ての「形式的な重層事業」ではなく、支援する側も支援される側もともにつながれる、そしてそのつながりによってボトムアップ型の春日部モデルを創造していくことを念頭にこの問題に取り組んでいきたいと強く思いました。

視察の様子