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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
新政の会
視察先
北海道 北見市
視察案件
「中期財政計画・中期財政見通し」について
実施日
令和7年7月16日
参加者氏名
山崎 進、鬼丸 裕史、水沼 日出夫、石川 友和、山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸

視察結果概要

(1)視察先の概要
 北見市は北海道の東部に位置しており、人口約11万7千人のオホーツク圏最大の都市です。面積は1427.41㎢で、東京都の約65%、香川県の約76%にあたる広さであり、北海道内でも最大規模、市町村として全国第4位の広さです。人口は108,900人(令和7年7月31日現在)となっております。
 産業構成は、農林水産業が経済の基盤です。特にタマネギの生産量が全国一であり、他にも白花豆やハッカ(かつて世界市場の7割を占めた天然ハッカ)の生産も盛んです。漁業分野では、サロマ湖沿岸においてホタテ養殖が盛んで、日本のスキャロップ養殖発祥の地ともされます。これら一次産業を支える二次産業(加工業)も活発で、市の海岸部に位置する常呂(ところ)地域ではホタテ貝柱や燻製加工などの水産物加工が盛ん、山間部の留辺蘂(るべしべ)地域では木材加工が地場産業として定着しています。また、北見地域や端野(たんの)地域では、タマネギをペーストやスープなどに加工する食品製造の取り組みが進められています。さらに、産学官連携も進展しており、北見工業大学や日本赤十字北海道看護大学などの教育機関があり、地域の技術支援や新産業の創出に貢献しています。
 また、商業・サービス業も整備されており、北見駅周辺には大型商業施設や店舗が集積、市民の生活利便性も高められています。
 観光資源としては、ピアソン記念館や常呂遺跡、北見ハッカ記念館、「北の大地の水族館」など歴史・文化・自然に触れる施設が豊富にあり、スポーツでもカーリングやラグビーなどの合宿地としても注目されています。
 気候面では、内陸性気候に由来する高日照率と寒暖差が特長で、夏は35℃近く、冬は25℃前後まで変動し、降雪量や降雨量は比較的少ない傾向です。

(2)視察内容
 北見市における中期財政計画・中期財政見通しの策定により予算縮減の「アクションプラン」の実施に至った背景、「アクションプラン」の内容及び現状、市民への説明方法などを調査目的としています。

(3)視察から得られた考察
 北見市は2006年3月5日に旧北見市と、旧端野町、旧常呂町、旧留辺蘂町の3つの町が合併して誕生しましたが、合併以前(19年前)から中期財政見通しを作成し、市の財政状況について注視をしていました。この合併は対等合併であったため、合併した各市町の各地区でそのまま事業を行っていたことから、令和8年度以降、毎年度30億円の収支不足が生じることが想定されたため、2025年度から5年間の中期財政計画を策定し、予算縮減のため北見市財政健全化計画「アクションプラン」を策定しました。
 北見市は道内市町村の中で1番面積が広く、市内には4つの自治区(合併前の自治区)があり、各自治区にそれぞれ人口密集地域があるため、人口密度は人口10万人以上の道内都市の中で最下位(1㎢あたり79.2人)と、広い面積に人口が分散しているという状況です。
 また現在、わが国の経済は、600兆円超の名目GDP33年ぶりの高い水準となった賃上げを実現しました。現在は、長きにわたったコストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点にあり、成長型の新たなステージヘと移行させていくことが、経済財政運営における課題となっております。
 こうした中、北見市のおかれている状況としては、インフレを考慮しない実質ベースで、歳入では人口総体の減少とそれを上回る生産年齢人口の減少により市税収入等が減少することが想定される一方で、歳出では少子高齢化の影響により、社会保障関係経費が増加することや、昨今の急激な物価高騰の影響を受け、既存の事務事業、社会インフラ及び公共施設を維持し続けるための経費が多額となるほか、過去の大型事業に起因する公債費等により、一般財源を圧迫することが想定されております。また、これまでは、基金からの一時的な補填により収支均衡を保ってきたが、今後も基金による補填を重ねた場合には基金の現金残高が枯渇する見通しとなりました。
 そうしたことから、令和6年11月に策定した「北見市財政健全化計画」に基づき、組織、施設及び事務事業などを抜本的に見直して収支構造を改善し、安定した公共サービスの提供を持続可能なものとするとともに、社会インフラや公共施設の最適配置を図りながら、新たに生じる行政課題に対応できる弾力性のある財政運営と将来への投資余力を生み出すことができる財政構造への転換を図っていく必要が生じました。
 この計画策定の目的は、令和6年度及び令和7年度の決算見込みをもとに、「地方財政計画」等、国の指針を勘案しながら、昨年策定した「北見市中期財政計画」の推移等を踏まえ、中期的な財政収支の見通し等の試算を行い、改めて今後の課題を把握し、収支の改善や財政の健全化に向け対処方策を明らかにすることです。
 また中期的な視点から「第2期北見市総合計画」等に基づいた「第7次実施計画」を策定する際の施策、事業の選択や、その位置付けに向けた指針とするとともに、これら事業等による後年度負担等をチェックする手掛りにし、行財政運営への理解が高まるよう財政に関する情報を幅広く提供し、積極的に行財政改革を推進するための資料とすることが目的です。
 「中期財政計画」は、「行財政改革推進計画」と相関するとともに、財政面から施策の事業化に向けた「実施計画」の裏付けとなります。また、計画期間中の現行ベースによる財政収支の見通しと課題、今後の対処方策等を明らかにすることにより、「実施計画」の策定、予算編成等の指針とするものでもあります。
 この状況を市民に隠さず伝え、理解してもらうための説明会を計5回実施し、1回あたりで意見が出尽くすまで行い、最大4時間の説明会となったこともあったようです。市民からは市民サービスに影響する分野についても説明責任を果たし、市が倒れてしまっては市内の事業者も共倒れとなってしまうことから、各種団体等からの要求にも数値として示している以上、毅然とした対応をしたとのことでした。
 もちろん市議会からも予算編成の裏付けとして、執行部へ財政計画を出すよう要求があったとのことです。
 現在、わが春日部市においては、この中期財政計画が市民の目に見えるような形で示されておりません。市の財政状況はどうなのか、未来のこども達が現在のツケをどの程度負ってしまうのか、春日部市の財政が枯渇し倒れてしまう危険はないのか等、春日部市民の代表で構成される議会をはじめ、市民に示していくことが早急に必要であると考察いたします。

視察の様子
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