議第16号 化学物質過敏症に関する対策強化を求める意見書について
化学物質過敏症(MCS)は、日常生活の中で使用される家庭用品や建築材料、農薬、化粧品、柔軟剤等に含まれる微量の化学物質に反応し、頭痛や全身倦怠感、呼吸困難など多様な身体症状が生じる疾患です。
現在、厚生労働省の傷病名コードに登録されているものの、発症メカニズムの未解明な部分が多く、客観的な診断基準や専門的治療を行える医療機関が極めて少ないのが現状です。特に近年では、人工的な香料等によるいわゆる「香害」をきっかけに発症・重症化する事例が相次ぎ、家庭や職場、学校、公共施設等での不理解から、就労・就学の断念や不登校、社会的隔離へと追い込まれる患者が絶えません。化学物質過敏症は誰もが突然発症し得る疾患であり、当事者の経済的不安定や精神的孤立を防ぐ支援策の確立は一刻の猶予も許されません。よって、政府においては、令和6年4月に施行された改正障害者差別解消法の趣旨も踏まえ、化学物質過敏症患者の生命と暮らしを守り、社会全体の化学物質リスク管理を高めるため、下記の措置を速やかに講じるよう強く求めます。
記
1 全国的な疫学調査・実態調査の実施
全国における化学物質過敏症の患者数や発症要因、生活・就労・就学上の不利益の実態を正確に把握するための大規模な調査を実施すること。
2 客観的診断基準の確立と専門医療体制の整備
標準的な診断基準や診療ガイドラインの整備・普及を進めるとともに、各都道府県における専門外来の開設支援や一般の医療機関における知識・対応力の向上を図ること。
3 公共施設や学校等における環境対策と「香害」啓発の推進
学校、児童福祉施設、医療機関、公共施設等における室内空気環境の安全確保(化学物質低減対策)を推進すること。また、人工香料等による体調不良への配慮について、各省庁連携によるさらなる周知・普及啓発を展開すること。
4 就労・就学現場における「合理的配慮」の提供徹底と環境整備
改正障害者差別解消法に基づき、職場や学校において個別の状況に応じた室内環境の整備、在宅勤務・オンライン授業の導入など、適切に合理的配慮がなされるよう事業者および教育機関等への指導・ガイドライン作成を推進すること。
5 総合的な相談支援体制の構築と社会的理解の促進
患者や家族が抱える苦痛や社会的孤立を防止するため、自治体の保健所や福祉窓口等における専門的相談体制を強化するとともに、国民への正しい知識の普及を図ること。
6 発症メカニズム解明および治療法確立への研究支援強化
発症・解毒メカニズムの解明やバイオマーカー(客観的指標)の開発、治療法・予防法の開発に向けた研究に対する財政的・専門的支援を大幅に拡充すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和8年9月18日
春 日 部 市 議 会
衆議院議長 様
参議院議長 様
内閣総理大臣 様
文部科学大臣 様
厚生労働大臣 様
経済産業大臣 様
環境大臣 様