◎町田務 市民部長  DV防止、被害者支援についてのご質問に答弁申し上げます。
 1点目の基本計画の策定経過とこれまでのDV支援の取り組みにつきましては、平成13年に制定された配偶者暴力防止法第2条の3第3項に、市町村は基本方針に即し、かつ都道府県基本計画を勘案して、当該市町村における配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならないと規定されております。その一方で、平成20年1月11日に内閣府等により定められた基本的な施策に関する基本的な方針によれば、男女共同参画基本計画など、ほかの法律に基づく計画に配偶者等からの暴力の防止に関する施策が定められていれば、それをもって市町村基本計画とすることもできるとの国の見解が示されておるところでございます。
 本市では、平成13年の配偶者暴力防止法の制定以来、重要課題として取り組んでまいりました。平成20年3月の春日部市男女共同参画基本計画の策定に際しましては5つの個別目標の一つとして、暴力や性的嫌がらせの根絶を掲げ、配偶者等からの暴力の防止に関する施策に位置づけております。こうしたことから、この男女共同参画基本計画を配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画とすることは可能でございますが、国の基本方針に即し、県の基本計画を勘案することとされており、埼玉県ではことし3月に配偶者等からの暴力の防止及び被害者支援基本計画の見直しが行われたことから、県計画との整合性を図るため、男女共同参画基本計画の一部修正を行うこととし、現在修正作業を行っているところでございます。
 2点目のこれまでのDV被害者の支援の取り組みにつきましては、相談、カウンセリングなどの被害者の心身の健康回復のための事業と法律相談や再就職セミナーの開催などの自立支援、緊急時の安全の確保や保護命令など、各種制度の利用に関する情報提供と助言を行っております。また、このような直接的支援のほか、家を出た後の追跡を逃れるための住民票の交付の制限、居住地での国民健康保険の加入など事務手続について、庁内の関係機関との連絡調整なども行っております。その一方で、たびたび暴力を受けながらも、このままの生活を続けていきたいという方が多いことから、カウンセリングなどの精神的な支援や、いざというときの対処方法などについて情報提供を行っております。このようにDV相談では一人一人異なる状況があり、また時間的にも緊急を要する場合と余裕がある場合とがございますので、それらの内容によりさらに専門機関、いわゆる警察、家庭裁判所、婦人相談センターなどの紹介などを含め、さまざまな対応方法について支援を行っております。
 DVに関する相談件数につきましては、主にDV相談の窓口であるハーモニー春日部とこども家庭課での相談を合わせますと、平成18年度82件、平成19年度90件、平成20年度には95件ございましたので、増加傾向となっております。そのほか市民相談室や総合支所の相談では離婚の案件が多く、離婚の原因の一つとしてDVも想定できるようなケースがあることや今年度に入り越谷児童相談所に寄せられました管内の緊急虐待通報130件のうちDVが7件ありました。身体的暴力を受けている子供の相談では、大体母親も暴力を受けており、児童虐待の背景としてもDVの存在があると推定できることから、まだまだ潜在的なDVがある考えられます。また、相談を受けている中で、ご自分の相談内容がDVであると考えていない場合も多数ございますので、DVについての理解が深まるに従い、今後さらに増加になるものと考えております。
 7月に実施いたしました春日部市配偶者等からの暴力の防止及び被害者支援対策連絡会議における関係機関のDVに関する相談状況につきましては、いずれも広域の相談で春日部市単独の件数ではございませんが、ことし4月から6月までの3カ月間で春日部警察署65件、うち逮捕事案になったものが3件、埼葛南福祉保健総合センター16件、東部地域振興センター11件、越谷児童相談所11件でございます。市の相談担当部署では、ハーモニー春日部35件、こども家庭課13件、市民相談室ではDV相談の場合にはハーモニーやこども家庭課を紹介するようにしておりますが、6件程度あったとのことでございます。このようなことから、適切な助言や支援が行えるよう、関係機関との連携が重要になってくると考えております。
 次に、住民票を春日部市に置いて市町村へ転居した場合の支援体制につきまして、シェルターとの連携でございますが、生命の危険や身体的暴力がないなど、緊急性が高い場合は事前に転居先の確保などの準備をしてから、加害者が不在のときに家を出ていただきます。しかし、被害を受けた際に家を出て、そのまま自宅に帰らず逃げたという場合にはシェルターへ一時入所することになります。一般的には、加害者からの追求を逃れるため、発見の可能性の少ない地域のシェルターへ入所していただいております。DV被害者の一時保護につきましては、埼玉県におきましては県が行っておりますので、シェルター入所に際しまして平日は市が県との連絡調整、シェルターまでの被害者の移送を行い、休日や夜間に関しては警察署が対応しております。シェルターの入所中に今後の身の振り方については本人、市、県が協議し、検討を行い、支援をいたしておるところでございます。
 また、住民票を春日部市に置いて他の市町村に転居する場合ですが、経済的支援が必要とされる場合は生活保護の適用を申請し、適用になれば転居費用についても支給されるところでございます。また、転居後の保育所の入所や国民健康保険の加入等については、転居先のほうで支援することとなっております。また、埼玉県の一時保護施設としては婦人総合相談センターでございまして、入所に関する業務はこども家庭課が窓口となっております。昨年は4件、21年度に入り7月まで5件の入所がありました。また、こども家庭課の一部業務を担当する庄和総合支所社会福祉課においても、今年度2件の入所があることなどから、相談件数の増加を踏まえ、今後も入所を要するDVのケースが増加することが予想されるところでございます。
 3点目の男女共同参画に関する苦情処理機関についてでございますが、春日部市では男女共同参画推進条例第15条で、市民及び事業者から苦情等があったときは、迅速かつ適切に対応しなければならないと規定しております。苦情等の申し出があった場合は、男女共同参画センターが窓口になり、職員を初めとして男女共同参画推進審議会や庁内関連の男女共同参画行政推進会議などにより対応してまいります。県内の苦情処理対応の状況でございますが、男女共同参画に関する条例を定めている16市のうち、苦情処理機関を設けている市が桶川市を初めさいたま市、所沢市、草加市、越谷市、朝霞市、和光市、八潮市、三郷市の9市でございます。委員としては、弁護士、大学教授、アドバイザーなどで構成されております。そのほかの市は、春日部市と同じように、苦情があった場合は職員や審議会で対応することとしております。いずれの場合も関係者から事情聴取などの調査を実施し、実態を確認した上で案件の関係者に是正を勧告したり、配慮を要請したりするなど、苦情を申し出た当事者に報告する連絡調整や助言を行うものでございます。これまで本市では男女共同参画に関する苦情の申し出はございません。内容によりましては、埼玉県の男女共同参画苦情処理機関の紹介を行うなど、市民の皆様にはご不便をおかけしないよう、情報の提供を行ってまいります。
 なお、県内苦情処理機関の設置市での苦情処理の実績としましては、平成16年度から20年度までの5年間でさいたま市2件、草加市2件、越谷市5件と合計で7件の申し出があったところでございます。内容は、セクシュアルハラスメント1件、人権関係1件、市の施策に対する5件でございます。また、埼玉県の苦情処理機関の実績としましては、これまでの8年間の申し出の内訳は、県の施策に関する苦情が9件、人権侵害案件が58件、申し出の案件件数は減少傾向にあるとのことでございます。
 以上でございます。